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遊・空間

遊・空間

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 この怪しげな場処は、摩訶不思議にも、昔からあったんである。五番町の近辺に、それも目と鼻の先に。
 図面は庭園の全体平面図。U空間の案内パンフからコピーした。インターネットでgoogっても覗けない。
 小説――新作小説(仮題『五番町夕焼け楼』)――のなかのおれたちは、もちろんこの場処を昔から知っていた。小説のなかのおれたちは実物と同様に極楽トンボだが、実物よりも少しだけ悪賢い。この悪の花園のありかを知っていたことが、その一つの証左だ。
 知っているけれど互いに知らんぷりをして優越感にひたり、自分だけの特権的な秘密のようにかかえている。みんな知っているのだから、自分だけが知っているなんて値打ちはないのだが。そこが the Unholy Three のアンホリーたる所以である。
 自分だけが知っているという勘違いが、やがて、おれたちを後戻りできない破局へとのみこんでいく。
 念のためにいっておくと、小説のなかのおれたちが実物とは別人格であるのと同じく、小説中の〈スペース・U暮まで〉と遊・空間とは、いかなる対応物もない。
 MAPを、2月2日と2月23日の記事につけたが、五番町との位置までは地図に入っていない。
 まあ、少し足を伸ばせば、「アパート跡地」を見物するくらいは簡単だ。

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